「デフレ」で世界から金利が消える日
米国を中心としたサブプライム証券を発端とした今回の金融危機は、株式市場、通貨市場、新興国市場を巻き込みながら、ついに実態経済に伝搬しました。世界各地で雇用が悪化、企業の倒産が相次ぎ、生産活動が縮小しています。
11月7日、米国労働省は10月の失業率を発表しました。失業率は6.5%と9月の6.1%から上昇し14年ぶりの高水準を記録し、その前日に発表された新規失業保険申請数は、1983年以来、約25年ぶりの高水準となりました。
景況感の悪化も著しいものがあります。11月5日に米国供給管理協会(ISM)が発表した製造業景況指数は、38.9と過去最低を記録、ドイツのIFO経済研究所が発表した企業景況感指数は、90.2と2003年5月以来最低の水準に落ち込みました。
9月以降の金融市場の混乱を受け、企業は景況感の悪化から雇用を削減を加速しています。今後発表される数字で、株価の下落による個人消費の減少や、企業の生産活動や設備投資の停止など、実態経済の悪化がより鮮明になるでしょう。
影響が深刻な新興国
さて金融危機の新興国への影響はさらに厳しいものになっています
先進国は「景気後退」という表現ですが、新興国ではまさに「国の破綻危機」となっています。原因はいくつかありますが、一番大きいものは欧米金融機関と投資家の資金引き上げです。欧米金融機関からの融資をてこに経済を成長させていた新興国、特に東欧や中央アジアの国は影響が深刻で、外貨不足からすでにIMFへの支援を受けることが決定した国もあります。これらの国は今後数年間は、IMFの管理の下極めて厳しい経済運営を強いられることでしょう。
半年前まで、新興国の高成長は続くといういわゆる「ディカップリング論」の主役であったBRICS諸国、(ブラジル、ロシア、インド、中国)も甚大な影響を受けています。
中国は2008年第三四半期のGDP成長率が9.0%と二桁を割り込みました。中国は株と住宅バブルの崩壊、元高と輸出不振の四重苦に苦しんでおり、来年は経済成長が大きく落ち込む見通しとなっています。先日約60兆円もの経済対策を発表しましたが、HSBC証券は最新の経済予測で、この対策を加味しても2009年度の中国の経済成長率は7.8%に減速すると報告しています。
ロシアとブラジルは資源価格の下落と資金流失の影響を直接受けています。特にロシアは、原油価格の下落による財政赤字と外貨準備の減少の懸念から資金流出が止まらず、通貨ルーブルの切り下げに迫られました。それによりさらに通貨流出とロシア資産売りが加速し、11日通貨防衛のために政策金利を引き上げという措置に踏み切りました。
IMFの最新の経済予測によると、2009年は先進国経済は大きくマイナス成長、新興国も成長率が大きく減少し、世界全体で2.3%と予測しています。まさにグローバル経済のリセッションです。
先進国はゼロ金利政策へ
これらの経済危機に対し、先進国は政策金利の引き下げと財政出動で対応しています。特に政策金利については、政策金利をゼロ金利へ、インフレを考慮すると実質マイナス金利にするという異例の対応を取って対応しています。先進国は9月以降、政策金利を大幅に引き下げました。

FRBは政策金利を1。0%と2004年以来過去最低の水準に引き下げました。ECBとBOEは、6日それぞれ政策金利を0.5%と1.5%引き下げ、3.25%と3.5%という低水準に引き下げました。
ほとんど金利のない日本も0。5%から0。3%へ引き下げを決め、その他にもオーストラリアは直近のピークから2%、ニュージーランドは1.75%の利下げを行い、それぞれ政策金利を5.25%、6.5%としています。
中央銀行を襲うデフレの恐怖
中央銀行が大きく政策金利を引き下げる必要があった理由がいくつかあります。
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